2023年2月16日

「見ない」のも監督の仕事のうち


2月17日から沖縄キャンプ。下旬にはオープン戦も始まる。

「目が疲れるぐらいまで、しっかりと選手を見たい」とキャンプ初日に言っていた新井さん。

開幕に向けて、選手もだが、監督らスタッフの選手を見る目も試される。

人間だもの。フラットでいようと思っても、情とか、好みとか、相性とか、あると思いますけど、平らかな選手起用が発動しますように。


監督の仕事は選手を見ることだが、「ロッテ、見ない指導」という面白い記事を読んだ(『日本経済新聞』2023年2月11日 )。

キャンプ初日、ドライチの菊地吏玖はブルペンで投げていて、吉井監督がいたことに気づかなかったそうだ。

吉井さんは、監督が間近で見ていると、とくに新人は張り切りすぎて調子を崩すからと、できるだけ選手の視界に入らないようブルペンの端っこにいて、「なるべくぼーっと見るように」していたそうなのだ。

ブルペンは投手が自分で工夫し、あれこれ試す練習の場であって、評価の場ではない」とも。この言葉には脳に爽風が吹いた~。


吉井さんのこの考え方は、近鉄時代の師匠、権藤博さんの影響もあるようだ。

投手を評価し、査定するのは相手打者」というのが権藤さんの考え。権藤さん、かっこいいぞ。

たしかに、監督やコーチ、選手をわかった気分になるのはちょっと待て、だ。吉井さんも投手だからこそ、感じるものがあるんだろう。

取材した篠山正幸記者の、「見ること」と同様に「見ないこと」、正確にいうと「見ないふりをすること」も首脳陣の仕事・・・という言葉にも、ハッ。


この記事を読んで思い浮かんだのが、中日の立浪監督。

オフに山本由伸と自主トレした高橋宏斗。フォーム改造した山本から学ぶことがあったようで、キャンプのブルペンで左足を高く上げないフォームで投げていた。

それを見た立浪監督は高橋にフォームを変えるよう忠告したようだ。(「スポーツ報知」)

あー。いかにも立浪監督のやりそうなことです。


高橋は、それこそ吉井さんが言っていたように、ブルペンでいろいろと試みていたんだと思う。

昨年、遠まきに見ていても、立浪監督は選手を自分の思うようにコントロールしよう(できる)と思っている人なんだなという感じがしていた。

しかも野手だったのにな。いや、気づくことあれば、投手野手関係なく助言はあっていいものなんだろうけど。

現役時代、卓抜したセンスや技術を持った選手だったという立浪さんだが、だからと言って監督に向いているかどうかはまた別の話。人に任せられない人は監督に向いてないと思うな。


その点、新井さんは、今のところ、選手に自分の考えを押しつけるタイプではなさそう。選手に考えさせたいとも話していた。

新井さんが監督になって、もしかしてこの人は、思っていたより、思っていた以上に、監督に向いている人なのかもという気持ちが、その言動を見ていて日に日に増す。

まだリーグ戦は始まっていない。これからが試金石だけど。
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