5月29日、西武戦(三次きんさいスタジアム)。
球場のまわりに見える山の緑と、スタンドに集うカープファンのレプリカユニフォームの赤。そのコントラストが目が覚めるように綺麗。
スタジアムはどこも特別な空気があるものだけど、年に一度の開催を楽しみにしていた地元のファンの方々のわくわくした気持ちがつまっているようで、よけいのびやかに見える。
試合中、スタンドに飛び込んできたファウルボールを手にしたファンの方の、とても嬉しそうな顔を見て、いつも以上に、足を運ぶ人にとって、やっぱり球場って特別な場所なんだなと思ったのでした。
ですが、この日は、そんな待ちに待ったカープファンの期待に応えられない試合になりました。
「子どものころ、野球を見に行って、応援していたチームが勝つと、きっと今日の試合は、僕が見に来たから勝ってくれたんだと、ものすごく嬉しかった」
「選手にとってはシーズンのうちの一試合にすぎないかもしれないけれど、球場に来てくれたファンにとっては、思い出に残る大切な一試合かもしれない」
これは、黒田博樹が『決めて断つ』の中で、自分がマウンドに立つときの姿勢の原体験となっていると語っていたもの。このファンに対する気持ちと覚悟を込めた黒田の言葉、首脳陣と選手に届けたくなりました。
カープの先発は中村祐太。今シーズン3連勝と快投したあと、2連敗。4月24日、あと一歩で完投と迫ったDeNA戦、あのころがピークだったのかと思わされるこのところの投球。この日の投球内容で真価を問われてもおかしくない状況。
しかし、踏んばれず、111球を投げて5回で降板。
あとを受けた中村恭平。6回は無失点で切り抜けましたが、7回はフォアとヒットが繰り出され、2失点。2回を終えるのに65球を要しました。いい球もあったけれど、試合をつくることはできませんでした。
ここでロングリリーフとして無失点で抑え、昨年の薮田和樹のようにチャンスをものにしてほしいと応援していたけれど、こちらも3試合連続で失点。
一方、打線は3回までに3得点するものの、4回以降、出たヒットは1本。
5回代打で登場したバティスタが打席に立っているのを見ると、昨年の衝撃のデビューの遺産をまだ首脳陣が忘れられず、眠れる獅子が起き上がってくれるのを今か今かと気長に待っているように見えて仕方がない。
ゲーム途中から、見るからに足の状態のよくなさそうな鈴木誠也を最後まで出させたことにも疑問符が。守備にも打撃にも、なにより誠也の身体に影響してくることなのに。
5月11日、はつらつとした打撃と守備を見せてくれていた高橋大樹をなぜ登録抹消したのか、プスプスと思い返すのでした。
5月26日、初登板したフランスアは、3失点で4回で降板。起用は成功とは言えなかったけれど、力のある球も見られたし、牽制球を投げるときのフォームが、水面に向かって石を投げる水切りのようで、なかなか面白かった。
野手陣・投手陣ともども、現状を見て、スパッと見極めて、選手を起用してほしい、試して見せてほしいと、またも願ったゲームでした。
スポンサーリンク
〔関連記事〕
●何をやってもうまく行かない日。
●客商売という姿勢