2017年11月29日

判定するのは誰?……アスリートファーストで行こう

富士通が、AI(人工知能)を使った体操競技の採点を支援するシステムの開発を進めているそうです。2020年の東京オリンピックでの使用を目指しているとのこと。(詳しくはこちらを)

年々、体操の技が高度になってきて、審判(つまり、ひと)の肉眼で正確な判定をするのが難しくなっている現状を踏まえ、判定を公平なものに近づけたいという意図があるようです。

たしかに、白井健三さんのひねり技はいったい何が起こっているのかという感じです(フィギュアスケートのジャンプもしかり)。

機械が判定を下すなんて、味気ない。そう感じる人もいるかもしれません。野球でも、たとえばビデオ判定に否定的な人を時々見かけます。でも、選手にとってフェアな判定がされることの方が一番だと思っています。ビデオ判定、カモンカモンです。



メジャーリーグでは今シーズンから「敬遠申告制」の新ルールが導入されました。

イチローは今年、実際にこの場面に立ち会ったそうで、「空気感があるでしょ、4球の間に。面白くないですよ」と話していたようです。

空気感、たしかに。見てる側にとっても、何が起こるかわからないところは敬遠タイムの楽しみ。敬遠球を投げるのが苦手なピッチャーが暴投して相手チームに得点を与えたり、敬遠球をサヨナラヒットした新庄剛志(当時阪神タイガース)の記憶もいまだ鮮やかです。

ところが、「敬遠申告制」の是非について聞かれた日本の投手は、軒並み賛成していて、目からウロコでした(『週刊 ベースボール』の記事だったかな?)。巨人の菅野智之も賛成していました。

「敬遠申告制」の話を最初に聞いたときにはなんとビジネスライクなと思いましたが、ピッチャーにとって負担になっているなら、そうかそうか、そういうことなら、敬遠申告制を否定するのはやめようと素直に思いました。

それならいっそ、ストライク・ボールの判定をAIにまかせてみては? ストライクゾーンがはっきりして、微妙な判定で投手打者ともに後味の悪いことは解消されそうです。

審判の存在を軽んじてるわけでは決してないです。審判の判断・はからいが試合を気持ちよく運ぶ大切な場面だってたくさんあるのですから。



スポンサーリンク

2017年11月27日

野村祐輔に黒田博樹を見た2017年

シーズンオフは、地元・広島で選手によるトークショーも数々行われているようですね。こうしたイベントって、他球団でも行われているのでしょうか?(ファン感謝デーなどは行われていると思うのですが)

私の住んでいるエリアではあんまり聞かないので(知らないだけのことかもしれませんが)、地元のファンとの距離の近さにカープならではのものを感じてしまいます。

11月26日に広島駅ビルにて行われたという、野村祐輔と岡田明丈のトークショー。豪華な顔ぶれだ。

駅ビルなど、なじみのある場所で行われていて、会いに行けるアイドルさながら、ご近所の方がうらやましいです。と思っていたら、応募1200人の中から抽選で選ばれし100人のファンの方が対象だったようで、やっぱり狭き門だったのですね。

今年の野村。勝ち数だけを見ると、もの足りなく感じる人も、もしかしたらいるかもしれません。でも、打線の援護がなくても、中継ぎが打たれ「勝ち」が消えても、たんたんとマウンドに立って試合を作り続けていた姿は、黒田博樹と重なりました。

Number』(2017年10月12日号「カープの時代。」)で、広島のリーグ優勝に寄せた黒田の手記にはこう書かれていました。



“ 相手のエースと投げ合い、打線との噛み合わせが悪く勝ち星がつかなくても最後までローテーションを守り続けた祐輔は数字以上に評価されるべきで、彼でなければできないポジションだったと思います。

また、衣笠祥雄さんは『週刊ベースボール(2017年10月2日号「カープ&ソフトバンク ペナント制覇!!」)にて、こんなふうに書いていました。



 開幕前、黒田博樹の抜けた穴が最も懸念されていましたが、キャンプ、オープン戦を見ていくうちに、私は「この穴は埋まった」と安心しました。それは野村祐輔という存在がいたからです。確かに野村は昨年、16勝を挙げて最多勝に輝いていました。ただ、白星という部分ではない。練習中の立ち居振る舞いなどを見て、本当に成長していた。黒田が担っていた精神的支柱という役割を野村が十分に果たしてくれるだろうと感じたからです 


見ていてくれる人は、ちゃんと見てくれている。
嬉しくなる先輩たちの言葉でした。



スポンサーリンク


〔関連記事〕

どんな仕事でもきっと誰かが見ていてくれる
黒田はまだそこにいる……黒田博樹が残したもの

2017年11月24日

スランプの原因とはいったい何か?

11月19日、TBSの報道番組「サンデーモーニング」のスポーツコーナーにて。女子スピードスケートの小平奈緒さんが、現在、500m種目において、W杯で15連勝、公式戦では20連勝と、好調なレースを続けているそうです。

そんな小平さんに、御意見番の張本勲さんが「あっぱれ!」をあげていました。
これだけ好調を続けているということ、スランプがないということは素晴らしい、と。よっぽど環境がいいとか、体調管理がしっかりしているということなんでしょうね、と。

野球選手もシーズンを通して、好・不調の波がやってくることはあるようですね。とくに夏場など、耳にする機会が多い気がします。

以前、ラジオで野球の実況中継を聞いていたとき、カープのOBでもある川口和久さんが、スランプの原因についてアナウンサーに問われ、ズバリこう答えていました。

川口さん曰く、「スランプの原因は、疲労です」。

シンプルですけれど、名言だと思いました(「明言」とも呼びたくなるクリアさ)。
精神的なものや技術的なことが原因で陥っているものなのかと、なんとなく想像していたので、目の前がスッキリした気持ちになったことがあります。ここまではっきり言ってくれた人は、今までいなかった気がします。

自分でもたとえば仕事をしていて、何か調子が出ない、思ったように事が進まないというときは、じつはシンプルに身体が疲れているとき、休息が必要なときだったなと、覚えがあったのでした。

「心技体」のうち、「体」が一番の基本と事あるごとに感じていますが、小平さんの充実したスケートと、張本さん川口さんの言葉が重なって、納得したのでした。



ところで、11月20日、日本テレビの朝の情報番組「スッキリ」を見ていたら、小平さんの快進撃の秘密をひとつ紹介してくれていました。

2014年のソチオリンピック後、小平さんはオランダに練習の拠点を移した時期があったそうです(ソチオリンピックでの結果は、500mで5位入賞)。
そのとき、元メダリストのオランダ人コーチからフォームの改善を提案されたそう。また、それに合ったトレーニングメニューを加えたところ、それが功を奏して、スケートの刃と氷の摩擦を減らすことができ、タイムの躍進にもつながったとのことでした。

ウィンタースポーツはいよいよ本番の季節。一方、野球はストーブリーグまっただ中。ぜひゆっくり疲れをとって、春からの好調な滑り出しを。



スポンサーリンク


〔関連記事〕

あっちこっちで伸び盛り

アドレス変更のお知らせ

このたび、「毎日カープ」のアドレスが変わりました。

これまでのアドレスから自動的に転送されていて、記事はそのままご覧いただけるようになっていますが、お知らせいたします。

新しいアドレスは、こちらになります。

http://www.magnolianote.com

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

2017年11月22日

広島テレビのアナウンサーが追い続けた黒田博樹

黒田博樹が自らのたどってきた野球人生を綴った1冊目の本、『決めて断つ』(ベストセラーズ)。



中学・高校から大学時代、プロ野球選手となってカープのエースとなり、メジャーリーグへ移籍、そして日本球界に復帰……黒田がそのつど、それぞれの環境の中で、どんなことを考えながら成長してきたかが絵巻物のように展開して見える、骨太な(地に足ついた)本です。

この本を読むと、野球やカープのファンでない方でも、たいていの人に黒田のことを好きになってもらえるのでは。そう思ってしまうくらい、どーんと黒田のこと(面白さ)を知ることができる、読みどころたくさんのおすすめしたい本です。

「中学生以来、野球を楽しいと思ったことは本当に一度もない」
「(メジャー時代の話で)翌日がデーゲームの場合は、ふだんから睡眠導入剤を飲んで早めに寝るようにしていたのだが」
など、あまり野球選手から聞いたことがないような話もたんたんと書かれていて、そんなオープンさも面白いと思ったことの一つでした。

さて、広島テレビのアナウンサーとして、プロ野球の実況中継にも携わり、取材を通じて黒田との交流を重ねてきた森拓磨さん。広島に住んでいる方にはなじみの深い方かもしれません。
そんな森さんが書き綴った『 黒田博樹 15年人を導く言葉 エースの背中を追い続けた 』(ワニブックス)を読みました。




「すでに黒田さん本人が自分の人生を本にされているので、基本的には私が間近で見てきた黒田さんのエピソードを中心に書かせてもらった。他人が見る姿から、また新たな黒田さんの魅力を知ってもらえるかもしれないと思ったのだ」

森さんが「はじめに」の中でこう書かれているように、意外というか、いや黒田らしいと思える知られざるエピソードなども出てきます(読んでのお楽しみということで、たとえば56ページとブックマークしておきましょう)。

実況中継する際に、かなりの資料に目を通し、準備をしているというアナウンサーの仕事についてのお話も出てきて、実況中継を見る(聞く)ときの視界もひとつ広がりました。

プロ野球選手は、仕事を通していろんな人に出会っていると思うのですが、報道の方たちとの関わりもまた日々のことなのだと改めて感じさせられました。

ところで、カープOBであり、前監督でもあった野村謙二郎さんも随所に登場しています。この本を読んで、黒田のみならず、謙二郎さんの人となりを知ることができるエピソードが読めたのも、収穫でした。



スポンサーリンク


〔関連記事〕

客商売という姿勢

2017年11月19日

カピバラと温泉


カープ恒例の、シーズン中の疲れを癒すリハビリキャンプ。今年も11月16日から20日まで、大分県由布市の湯布院町にて行われているようですね。

今年の参加者は、新井さん、石原、松山、會澤、田中、菊池、野村、大瀬良、九里、中田、今村、一岡、中崎、岡田の14名(新井さんは講演会のため一日遅れて参加)。

シーズンを戦い抜いたメンバーたちが温泉につかっているの図は、ユニフォーム姿とはまた違ったリラックス感が湯けむりとともに伝わってきて、ほほえましさが満載。
(「カープ 湯布院  2017」などで検索なさってみてください。もうご覧になってる方もすでに多いと思われますが)

カピバラ三兄弟(今村、大瀬良、一岡)も温泉につかっています。

カピバラと言えば、渡辺克仁さんの写真集『カピバラ』『カピバラ2』(東京書籍)、おすすめです。
中味も、持ち心地も、かろやかな2冊です。





表紙を見ただけで、すでにカピバラワールドが手招き。ねむたそうな顔といい、リラックスした佇まいといい、のこのこ親子で歩いている様子といい、はぁぁぁぁ。温泉につかっているような気分になります(実際にカピバラが温泉につかっている写真もあります)。

ほのぼのとした愛らしい写真以外に、カピバラについてのデータも巻末に。それによると、カピバラはネズミの仲間(体長1mもあるのに)。齧歯類(げっしるい)ですね。ネズミは雑食ですが、カピバラは草食だそう。南アメリカに生息しています。「死ぬ気で走る」と時速50kmで走ることができるとか。猛スピードでカピバラがっ。

日本でカピバラに会える動物園をリストアップした「カピバラナビ」もチェックしたいところです(言うべくもなく、マツダスタジアムは出ていませんが)。



スポンサーリンク

2017年11月17日

日本と韓国のプロ野球、こんな違いを発見!

11月16日、「アジア プロ野球チャンピオンシップ2017」の日本代表 対 韓国代表戦。24歳以下または入団3年目以内の選手が選ばれているということで、オールスター若手版のような楽しみも。

この日の先発メンバーだけを見てみると……12球団のうち一番多いのが、広島、西武、ソフトバンクからの2名ずつ。もちろん、この一面だけを見てすべてを語ることはできませんが、若手の勢いのあるチームが浮かび上がって見えてくるようで、興味深かったです。

ところで、テレビ中継の最初、韓国での通常のリーグ戦の映像が紹介されていました。ここでもう一つ、興味深いことが。

日本のプロ野球では、通常のリーグ戦でも、日本代表の試合でも、ユニフォームの背中にある選手の名前はアルファベットで表記されています。

この日の韓国代表のユニフォームも、選手の名前はアルファベットで書かれていました。

それでは、韓国の国内で行われているリーグ戦では、ユニフォームの選手の名前はどんな文字で表記されていたと思いますか?

ア.アルファベット(日本と同じ)
イ.ハングル(自分の国で使っている文字)

 ↓

 ↓

 ↓



国内では、ハングルでした。

日本のユニフォームでは、いつからアルファベットで表記されるようになったのでしょう? そもそも、選手名はいつから表記されていたのか。

漢字で名前が表記されていたら、日本の文化を感じて、逆にエキゾチックな雰囲気がかもしだされそうです(ここは日本なのに……)。「イチロー」とカタカナで書いてあったら、なんか可愛らしい。慣れてしまえば、何でもOKのような気もします。

しかし、知らないとわからない読み方もあるので、アルファベットはフリガナとしての役割も果たしてくれますね。中日の堂上選手とか、野球を見始めたころ、何と読むのだろうと思ったりしていました。

ちょっとしたことながら、日本と韓国の共通しているところ・違っているところが見つかって、興味深かったのでした。



スポンサーリンク


〔関連記事〕
高校野球とプロ野球の大きな違い、実はここ
各球団ホームページにあるもの・ないもの

2017年11月5日

バレンタイン監督は言っていた


ボビー・バレンタインが千葉ロッテマリーンズの監督だった2005年。
日本シリーズに優勝して、アジアシリーズ(アジアのクラブチームのチャンピオン決定戦)に出場することになったとき、「(通常のシーズンが終わった季節になっても)こんなに長く野球ができることを喜びに感じて闘おう」と選手たちに話していました。

野球を心から楽しんでいる感じがして、それがまさしくバレンタイン監督がロッテで魅せてくれていた野球と重なって、とても素敵だなと思ったことを覚えています。

昨年、カープと北海道日本ハムファイターズの日本シリーズをテレビ観戦しながら、この季節になってもまだゲームを見ることができる、応援できる、という幸せを感じていました。12球団ある中で、2つのチームを応援しているファンにのみ与えられた幸せ。

今年、カープはリーグ優勝したものの日本シリーズへは進出できず(しかもCSで横浜DeNAベイスターズに惨敗ときたもんだ)、もう今年はこれでおしまい。

一瞬、そんな気分になっていましたが、福岡ソフトバンクホークスと横浜の日本シリーズを見ていて、レギュラーシーズンが終わっても、こうして野球を見られるというのはやっぱりいいものだなぁと思いました。

シーズン中、カープを応援していると、対戦相手のことも覚え、「この人すごいな」と、相手チームへの敬意もおのずと生まれてきます。それも野球を見る楽しみのひとつ。

だから、日本シリーズも、応援しているチームが出ていなくとも、見応え感じていました。なかでも今回、横浜の今永昇太と濱口遥大のマウンド上でのタフさが、しっかりと心に残りました。願わくば、もう1戦、第7戦まで見たかったです。

しかし、応援していないチーム同士のゲームでも白熱して見てしまいますが、優勝のビールかけだけは見ていてもさっぱり面白くないですね。あぁぁぁぁ、これぞ選ばれし者の特権。



スポンサーリンク


〔関連記事〕
野外スタジアムの空気はやっぱりいい

2017年11月2日

野外スタジアムの空気はやっぱりいい

11月1日、日本シリーズ第4戦。

TBSのテレビ中継のゲストが黒田博樹という情報は入手していましたが、当日、新井貴浩もゲスト出演と知る。
この日、二人のかけあいは見られませんでしたが(そういう席ではありませんでしたが)、新井さんのコメントが、ヒーローインタビューの時のようにナチュラルで、すっと声が届いて、聞いていて気持ちよかったです。

と、黒田&新井のゴールデンコンビの解説もカープファンとして楽しみでしたが、横浜の濱口遥大(プロ1年目)のピッチングも、もう一つ楽しみにしていたことでした。

横浜にとってホームゲームとはいえ、大舞台での緊張を感じさせないその投げっぷり。8回途中までノーヒットノーラン。投げ終えたあとのベンチにて、充実したペコちゃんみたいな表情。魅了されました。

3連敗の横浜にとって、待望の1勝目。
この日、横浜が6対0でリードして迎えた9回表は、マウンド上にも、ベンチにも、スタジアムの横浜ファンからも、まるで優勝の瞬間を待つかのような、きれいな空気が流れていました。
ヒーローインタビューではスタジアムの照明が消え、お立ち台がライトアップ。ライブ会場のような雰囲気を見ることができました。



前日の第3戦は、TBSラジオで黒田がゲスト解説。ゲームの始まりはラジオで聴いていたのですが、その試合開始前にもスタジアムの照明が消えるという演出があり、黒田もその雰囲気を楽しんでいるようでした。再点灯したとき、「すぐに灯りがつくんですね」と感心もしていました。
アナウンサーの説明によると、最近はLEDを使ったスタジアムの照明も増えてきて、つけたり消したりがすぐできるようになったそう。

LEDの前に使用されていたのはHIDランプ。発光管内の蒸気圧が安定してから点灯するため、明るくなるまでに5分ほどかかるそう。また、消灯直後のランプは高温で、再点灯するには温度が下がる必要があるので、これまた時間がかかるとか(横浜スタジアムの照明設備を手がけたのは岩崎電気株式会社)。

プロ野球の屋外ナイターの照明設備が全面的にLEDに変わったのは、横浜スタジアムが日本初なのだそうです(詳しくはこちらを)。

ちなみに、プロ野球のナイトゲームが初めて行われたのも、1948年に横浜スタジアムの前身である横浜公園球場(横浜公園平和野球場)だそう。

球場の明かりがすぐについたり消えたりするのは、これまで当たり前のことではなかったのですね。LED照明が選手にとってプレーしやすいものかどうかは別として、思いがけず時代の移り変わりを感じました。



スポンサーリンク


〔関連記事〕
黒田博樹が初のラジオ中継に!
バレンタイン監督は言っていた
行きずりの人は言った。「マツダスタジアムって雰囲気いいんですよ」