黒田博樹が自らのたどってきた野球人生を綴った1冊目の本、『決めて断つ』(ベストセラーズ)。
中学・高校から大学時代、プロ野球選手となってカープのエースとなり、メジャーリーグへ移籍、そして日本球界に復帰……黒田がそのつど、それぞれの環境の中で、どんなことを考えながら成長してきたかが絵巻物のように展開して見える、骨太な(地に足ついた)本です。
この本を読むと、野球やカープのファンでない方でも、たいていの人に黒田のことを好きになってもらえるのでは。そう思ってしまうくらい、どーんと黒田のこと(面白さ)を知ることができる、読みどころたくさんのおすすめしたい本です。
「中学生以来、野球を楽しいと思ったことは本当に一度もない」
「(メジャー時代の話で)翌日がデーゲームの場合は、ふだんから睡眠導入剤を飲んで早めに寝るようにしていたのだが」
など、あまり野球選手から聞いたことがないような話もたんたんと書かれていて、そんなオープンさも面白いと思ったことの一つでした。
さて、広島テレビのアナウンサーとして、プロ野球の実況中継にも携わり、取材を通じて黒田との交流を重ねてきた森拓磨さん。広島に住んでいる方にはなじみの深い方かもしれません。
そんな森さんが書き綴った『 黒田博樹 15年人を導く言葉 エースの背中を追い続けた 』(ワニブックス)を読みました。
「すでに黒田さん本人が自分の人生を本にされているので、基本的には私が間近で見てきた黒田さんのエピソードを中心に書かせてもらった。他人が見る姿から、また新たな黒田さんの魅力を知ってもらえるかもしれないと思ったのだ」
森さんが「はじめに」の中でこう書かれているように、意外というか、いや黒田らしいと思える知られざるエピソードなども出てきます(読んでのお楽しみということで、たとえば56ページとブックマークしておきましょう)。
実況中継する際に、かなりの資料に目を通し、準備をしているというアナウンサーの仕事についてのお話も出てきて、実況中継を見る(聞く)ときの視界もひとつ広がりました。
プロ野球選手は、仕事を通していろんな人に出会っていると思うのですが、報道の方たちとの関わりもまた日々のことなのだと改めて感じさせられました。
ところで、カープOBであり、前監督でもあった野村謙二郎さんも随所に登場しています。この本を読んで、黒田のみならず、謙二郎さんの人となりを知ることができるエピソードが読めたのも、収穫でした。
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