1月9日の吉田正尚のインタビューに続き、1月16日、江夏豊さんによる、またまた素敵なお話が聞けましたので、抜き刷りでご紹介したいです(「石橋貴明のGATE7」TBSラジオ、にて)。
江夏さんと言えば、一見、強面(こわもて)。でも、お話を聞いていると、傲慢な物言いはなく、紳士的で、野球へのあたたかさを感じます。
1年前、「週プレNEWS」で、森下暢仁との対談を読んだときも、うんと年下の若い選手に対しても上から目線でなく、リスペクトが感じられて、とても素敵だと思った。
2021年の日本のプロ野球シーズンはいかがでしたか?
おおかたのファンの方が、前年度最下位のチームがまさかまさかリーグ優勝して、日本シリーズで合間見えるとは思っていなかっただろうけど。
結果だけ見ると、4対2で、ヤクルトのワンサイドゲームと思わせる数字ですけど、一試合一試合、素晴らしい試合だった。
両チームとも若い人の活躍が目立ち、なおかつ、ベテランも味を出して存在感を示した。ベテランがいるだけでチームが引き締まる。若手だけじゃできないよという見本ですよね。
そういう意味じゃ、自分たち野球関係者としては、大満足の1年で終ったんじゃないかと思いますね。
・・・ヒリヒリしながら見た昨季の日本シリーズ。江夏さんが、どこかのチームに肩入れすることなく、フラットにそう語ってくださったことが、嬉しかった。
ヤクルトが一番強かった野村監督の時代、抑えをやってた高津監督。かたや、仰木さんが元気な頃のバリバリのキャッチャー、オリックスの中嶋監督。江夏さんには少なくとも関わりのあった両監督の、影みたいなのものが見えたりしましたか?
あ、どっか似てるな。とか、あ、教えてくださった人の面影を背中に抱いて、ボールに相対しているなっていうことは、なんかこう伝わってくるんですよね。
これがまた野球人にはたまらないほど、あったかみと言いますかね、素晴らしさが伝わってくる。これはもう事実の世界の中の、独特の感性なんですけどね。
これがまた野球人にはたまらないほど、あったかみと言いますかね、素晴らしさが伝わってくる。これはもう事実の世界の中の、独特の感性なんですけどね。
・・・一度、貴さんが江夏さんと野球を見ていたときに、作戦や配球が、江夏さんが読んだとおり、ズバズバ当たったことがあったそう。カープと縁のある江夏さん。臨時コーチでいいから、招いてほしくなりました。
そう言えば、江夏さんて、引退後、ユニフォーム着てないのかな? とwikiってみたら、あわわ。不祥事があったんですね(その数日前まで、日ハムの臨時投手コーチを務めていたそう)。
そ、そ、そうでしたか。でも、その卓抜した、考える・感じる野球の面白さ、カープの若い選手に伝えてほしいと切望します。
・・・阪神・南海・カープ・日ハム・西武と、球団を渡り歩いた江夏さん。あるインタビューで「江夏さんはどこのOBですか?」とたずねられ、「阪神」と応えていたそうです。
それは、後にも先にも変わりないですね。やっぱり自分の縦縞・28番は、自分の青春ですから。甲子園のマウンドというのは、自分の青春の大事な場所ですから。
でも、人間というのは勝手なもので、自分の現役生活を振り返って、一番楽しかったのはどこというと、これは広島に尽きます。
やっぱり人間、勝手なもので、結果がよければいい思い出ですよ。3年間、カープにお世話になって、3年のうち2回、日本一になった。
その日本一になった瞬間、自分は幸いにもマウンド上におれた。これはもうラッキーの一言ですよ。そういう意味では縦縞の28番も、赤い帽子の26番も、自分の野球人生にとっては最高の思い出です。
・・・ここで貴さんから、「やっぱり野球っていいですね」と、言葉にするのがやっとのような、感嘆の声が。
僕にとって、野球っていうのは、やっぱり最高の宝物(たからもん)ですから。その野球を宝物にされている方、たくさんおられると思うし、もっともっと磨けば光る宝物になるんですから、いい輝きの宝物にしてほしいですね。
・・・と、最後、野球界へのメッセージで終る。
「宝物」という言葉に、野球への愛情を感じるのでした。
こういう姿勢で野球に携わる人が、現役でも、OBでも、組織する人にも多ければ多いほど、もっと今のプロ野球を魅力的なものにつくっていけるんじゃないか、そうしてほしいと切に思ったのでした。
たとえば巨人の原監督。その爽やかさなイメージから、かつて若大将と呼ばれていたようだが、原監督よりよっぽどエレガントなものを江夏さんに感じる(原監督の言動からは、野球に対するというより、巨人というチームへの愛情の強さを感じる。きっと野球を愛されているとは思うけれど)。
まだまだ面白い話があったのですが、また後日に!