2021年7月12日

野次と、誠也と、長野と、玉村と


7月11日、ヤクルト戦(神宮球場)。雨のため試合中止。

第1戦、ひどい采配で逆転負けはしたが、玉村昇悟が試合をつくり、4番の鈴木誠也が逆転2ランを打つ展開まで持っていった。

第2戦、大道温貴が快投し、リリーフ陣も無失点リレー、打線の援護もあって完封勝ち。

第3戦、先発は森下暢仁と石川雅規。ここ数年、パワーダウンしている石川相手だっただけに、カープにいっときの負け慣れた諦めムードがなくなってきただけに、もう1勝しておきたかった。

なんて皮算用も終わり、今日から中日との3連戦。先発投手の勝ち数が増えてほしい=借金を減らしてほしい。


ところで、ちょっと気になっていたのが、7月8日、5対3と逆転勝ちしたDeNA戦のお立ち台に、林林晃汰とあがった長野久義。

長野は「たまには仕事しないと、ファンの皆さんに野次られるので、今日はよかったと思います」。

これはおそらく、7月2日、阪神戦でのお立ち台にたった鈴木誠也の、「不甲斐ない試合ばかりで、ファンのみなさんを悲しませている試合がたくさんありますけれど、前みたいにすごい声援のある球場にまたなってもらいたいんで、今は野次ばかりなんで、少しはいい声援が送ってもらえるように僕たちも頑張っていきたいなと思います」を受けたもの。

ジェントルマンな長野なりの自虐的な表現だったと思うのだけど、ちょっと言葉足らずな感じがした。

長さんのコメントにスタンドから笑い声も聞こえた。でも、野次の話を笑いにできるのは誠也だけ。それに、誠也のコメントには「ファンのみなさんを喜ばせることができるように」という言葉がセットでついていた。

お客さんが野次をとばすのは、不甲斐ないプレーを続けていたから(過分にまずい采配を繰り出してばかりのベンチの責任も大きいけれど)。


2016年から2年間、カープに在籍していたヘーゲンズのこんな記事があって、記憶に残っていた。(Full-count

へーゲンズは、日本でプレーしていたとき、「日本のファンは皮肉やヤジよりも、試合を楽しむことに重きを置いている」と感じたそう。そのことはカルチャーショックだったとか。

「日本では試合へのスピリットと応援することがより大切なんだ。どんな状況でも彼らは応援する。ヤジる人はいないんだ。選手が良いプレーができるように、いつでも応援するんだ」

数年前、どんなに連敗していても、しかも、僅差の負けがひとつもなかったときでも、球場ではカープファンがあたたかい声援を送っていて、違和感を抱いたことがあった。カープファンはもっと怒っていいと思う、って。


球場は、テニスコートでもゴルフ場でもない。今は新型コロナの関係で、応援で声を出すのは控えることになっているけれど、それでも出てしまった野次。それくらい不甲斐なかったカープ。

先日、少し前のゲームで、お客さんの野次がとび、ちょっと騒然としたベンチを映した動画を見た。若い玉村にはたぶん初めてのことだったのか、ちょっとびっくりしたようにスタンドを見ていた。

でも、玉村は、「不甲斐ないプレーをしたら、こういう反応がある。これがプロの世界なんだ」と肌で感じたんじゃないかと、勝手に推測しています。この選手はそういうことわかって、プロとしてのガッツ発揮してくれる人なんじゃないかと。


路上なんかでも、ストレスのたまった人が声をあらげているのを聞いて、ざわつくような不安な気持ちになること、あります。

それくらい、どんよりする野次がとぶほど、いっとき負けてばかりだった今シーズンのカープ。選手もまわりも、そんな野次を聞いて嬉しいわけがない。

でも、お客さんはお金を払って、時間を費やして、ゲームを楽しみに来ているんだから(球場に来れない人だって見てるんだから)。これはアマチュアの競技会じゃない。客商売なんだから。

そのことを教えてくれる黒田博樹の『決めて断つ』をプロ野球選手は読むといいと思う。


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