11月20日、2021日本シリーズ、オリックス・ヤクルト第1戦(京セラドーム大阪)。
4対3で、オリックスが1勝。
昨年(と一昨年)の資金力にものを言わせ選手集める球団同士の対決とは違って、ともにサラッとした悪目立ちしないチームカラー。
しかも、山本由伸と奥川恭伸。球界の新エースと、チームの新エースの対決。高津監督、ありがとう。一番見たかったものを見せてくれて。
もう、しびれどころがいくつもある初戦でした。
とはいえ、ともに緊張感じる立ち上がり。1回ウラ、3アウトとって、ふっと笑顔がこぼれる奥川が、か、可愛い。
一方、緊張の中にも、随所にマウンド上で笑みを見せる山本。余裕感じる。ずっと山本のファンでしたが、最近では、自分で投球を制御できている感じがパーフェクトすぎて、小憎らしいほどです。
と、二人のテンポ速い投手戦を予想していたが、ともに5回まで無失点ではあったが、トントントンと進む感じではなかった。
5回で山本すでに95球。ヤクルト、粘って、球数投げさせた。よって、6回、中村悠平のタイムリーで先制され(今年の中村、渋い、見せてくれる)、山本は6回112球で奥川より先にマウンドを降りることに。これはオリックスにとって、誤算。
山本から点を取るのは至難の技とは誰もが思うことだけど、こういうやり方がある。カープも見習おう。カープの人たち(選手も監督・コーチも)、見てますかー。見てー。
それに比して、奥川の球数の少なさは、CSで98球の完封劇を見せた奥川。
しかし、7回ウラ、若月健矢の代打・モヤが、奥川からホームラン。1対1、同点に。よっしゃーーー。
私はなぜか中日時代から、モヤさまと呼んでいます。スラッとした長身。中日と対戦したとき、打席に立たれるとすごく嫌だった。ここぞのときたいてい打つんだもの。中日からオリックスにトレードが決まったとき、オリックス、いい人とったなと思った。カープ、とってくれたらよかったのに、と。
ここで奥川、しゃがみこむ。あー、ダメダメ。エースはそんな美しくない格好しちゃ。凛々しい奥川君に似合わない。
7回、山田哲人がヒットで出塁して、村上宗隆が2ランで1対3。主軸もしっかり仕事。取ったり、取られたり。このせめぎあう感じ、いいです。
8回ウラには、清水昇がランナー二人を出しながらも、最後、ラベロを見逃し三振に切ったところも素晴らしかった。しかし、32球も投げた。
今シーズン、高津監督は、奥川の登板間隔をしっかりあけたり、投手の連投に配慮するなど、無理させないマネジメントが評価されていたが、清水は72試合登板した。約半分ですよ。これは疲労がたまっているのではないかと、心配です。
2点ビハインドの9回、比嘉幹貴が三者凡退。38歳のベテランが素敵~。
9回ウラ、プロ2年目19歳の紅林弘太郎がヒットで出塁(よく打ちます)。
代打・ジョーンズは力の抜けた(ように見える)空振りが続いて、大丈夫なん? と見ていたが、急に空気が尖ってきた。最後にフォアを選んで、ノーアウト1塁2塁。代打での打率0.429、出塁率0.568の数字にたがわぬ仕事。ここもしびれた。
続く福田周平のバントをマクガフがフィルダーズチョイス。3塁に送球して、セーフに。球場がオリックスを後押しするムードに包まれてきて、宗佑磨が2点タイムリーで、3対3、同点に。
宗は2回にエラーをした。そういうときって、ちょっと嫌な空気が流れるもの。失点にはつながらなかったし、試合途中からそんな空気もなくなっていたけど、最後に大仕事して一掃するのも、また素晴らしかった。
それで、です。最後の最後に、吉田正尚がさよならタイムリーで、逆転勝ち。しびれました。
もともとオリックスは山本や山岡泰輔、吉田がいるのでと応援していたチーム。ちょっとだけオリックスびいき。でも、オリックスとヤクルト、どちらが勝っても(負けても)いいと思って見ていた試合。
その上に、両エースが投げ、打つべき人が打ち、中継ぎ陣にも味わいがあり、宮本丈のフェンス激突のエースを助ける守備もあり。いいゲームが見られ、こんなストレスのない観戦も珍しい。
紅林や宗、奥川ら、若い選手がヒリヒリした舞台に立って仕事しているのを見ると、カープの若い選手にも、この舞台を経験させてあげたいと切に思った。