2021年12月6日

九里の打たれ強さはそういうことだったのか


同期入団の大瀬良と九里亜蓮。ともにFA宣言せず、来シーズンもカープでプレーすることに。

近年、エースとしての風格が増してきた大瀬良(身体はちょっと弱いけど)。カープ残留を発表した会見でも、「移籍してしまうと、カープの子には伝えられなくなる。カープで学んだことは、カープでつないでいくという思いが強かった」と、さながら伝道師か、高僧か。

大瀬良の言葉を聞いていると、トップに立つにふさわしい人のものと思う(佐々岡監督も学んでほしい)。ますますリーダーの風格が。マウンド外での存在感をも増してきた。

一方、九里は、会見やヒーローインタビューでは、わりと定型、紋切り型。話が面白いと思うことは、ほぼない。でも、いいんです。プレーヤーは、プレーで語れば。プレーでサービスしてくれれば(でも、面白いこと言う人は大好物です)。


今年、最低なことが多かったカープの中で、遅まきながら4月下旬、九里のよさ・すごさに気づいたのは、個人的に忘れがたい出来事の一つでした。

4月23日の巨人戦。九里が菅野智之と投げ合って、ともに完投した試合。援護に恵まれず、2対1で九里は負け投手に。

それでも、打たれても、打たれなくても、自分の仕事はこういう仕事。と、ベンチに戻ったときの投げ終えた淡々とした表情がものすごく美しかった。

九里には、打たれても悲壮感がない。野手に妙な緊張感を与えない。

エースとしての佇まいに風格を感じさせる大瀬良や、心技体と華を兼ね備えた森下暢仁とはまた違ったエース像が九里にはある、と思った。


と、今日は九里のことを書こうと書き始めていたら、「プロフェッショナル 仕事の流儀」(NHK)で、田中将大を特集していた。

今シーズン、メジャーから楽天に復帰した田中。防御率は悪くなかったが、4勝9敗と負けが先行。自分が投げた日に勝ちがつかないどころか、チームが負けてしまう苦しい日が続いた。

今年の森下と重なった。

楽天の野手は、「田中さんが投げる日は負けてはいけない雰囲気がある。緊張がある」と話していた。やっぱりか。そこもまた、なかなか勝ちがつかなかった時期の森下と少し重なった。

その点、九里は、完璧で隙のないピッチングを目指すというよりは、適度に打たれ、勝っていくタイプ。緊張を与えない雰囲気がある。

かつての田中や、今の山本由伸や、調子のいいときの森下のような、負ける感じがしない投球は見ていてうっとりするものがありますが、九里の、打たれ強い良さにハタと気づき、目から鱗だったのでした。


で、先日、家族と九里の話をしていて、案外九里のことをよく知らないことに気づいて、今さらWikipediaをチェック。

九里ファンやカープファンの方にとってはよく知られたことかもしれないけれど、私、初めて知りました。

中学時代は不良グループの特攻隊長をつとめていたこと。中学3年の夏休みには不良グループからの脱退をめぐって、野球の大会への参加を妨害される嫌がらせにあったこと。

大会にはなんとか参加できたけど(よかった、よかった)、仕返しを恐れたおばあちゃんが九里を転校させ、待ち伏せされる可能性があるので、学校への行き帰りを車で送り迎えしていたという話(おばあちゃん、がんばった)。


思春期にそんな修羅場を経験していたとは。

マウンドで、打たれたごときで動じないのは、そういう経験を経てきたからなのかと、説得力ズドーンでした(wikiに書かれていることが事実であればですが)。

2015年の中日との最終戦でリリーフして打たれ、試合後、号泣していた大瀬良(また言われてます)とはものが違うというか。

4月ごろ、大瀬良や森下とは違う九里のエース像に気づき、11月にその裏づけを得、九里の面白さをかみしめているオフシーズン。開幕が、あぁ待ち遠しい。

         

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