くも膜下出血で倒れ意識を回復した妻が、夫と暮らした4年間の記憶だけ喪失していた……という設定には現実味を感じない人がいるかもしれません。
でも、その設定を借りて、人をどう描くか。それが、フィクション(ドラマ)の醍醐味だと思います。
いいドラマでした。脚本も、演出も、演じた俳優さんたちも。
小野寺昭さん演じる主人公のお父さんが、これまた魅力的な人で、よかった。お父さんの登場シーンや台詞はとりわけ心に残ります。
ところでこのドラマ、放映されたのは2012年ですが、昨年、動画配信を利用して、初めて見ました。そうしたら……。
このお父さんがカープファンという設定なのです。ちなみに、住まいは千葉県にあるという設定でした。
実家のシーンでは居間にレプリカのユニフォーム(前田智徳の「1」と、栗原健太の「5」)が飾ってあったり、カープ坊やのタオルや赤いメガホンが見えたり、カープの逸話がお父さんの口から語られたり。
緒方監督の現役時代のエピソードも出てきます。これがまたじんわりきます。
「97年、阪神に3点リードされて迎えた9回裏。ツーアウトフルベースで、バッターは緒方。そこで3点差をひっくり返す逆転満塁サヨナラホームラン。感動したなぁ。あれは奇跡じゃない。努力とか、経験とか、それまで積み重ねてきたもんがあってこその結果だろう。奇跡なんて言葉で片付けちゃダメだ」(第9話より)
と、思いがけず広島ファンには嬉しいツボがそこココに散りばめられています。
放映されていた2012年は、「カープ女子」という言葉がまだ世に浸透するちょっと前のころでしょうか?
意表をつく、しぶい設定。そんなところも、こころにくい脚本です。よろしければ、ぜひ。
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