今さらながら、今年の日本シリーズを見ていてうらやましかったのは、両チームともスタメンがほぼ20代だったこと。
今季のカープ、20代のスタメン野手の少なさが際立っていた。西川龍馬しかいない日もあった。ほかに20代といったら、坂倉将吾と小園海斗、ときどき末包昇大ほかほか・・・という感じだった。
それでリーグ2位になったわけだから、「終わりよければすべてよし」と言われるかもしれないが。過去の実績優先の、競争のない世界は物足りなかった。いびつに感じた。
今回、阪神の30代は、第6戦と第7戦のDHに入った糸原建斗(30歳)と原口文仁(31歳)だけ。
オリックスは20代の選手を中心に、ときに杉本裕太郎(32歳)、ゴンザレス(34歳)、西野真弘(33歳)、福田周平(31歳)が入る形に。
今回の日本シリーズ、終わってみて、脳に残ったのは、実は31歳の福田だった。
昨年と一昨年、1番打者としてリーグ連覇の中心メンバーだった福田。今季は若手の台頭もあって、36試合と出番もグンと少なくなった。
経験があるからと言って、指定席などないオリックス。いいなと思った。
カープは、秋山翔吾や西川龍馬ら、ケガで離脱した選手は、ある程度回復したら、指定席が設けられているかのようにスタメン起用されることも多かった。コンディション、よくないのに。
福田は、第6戦に代走で途中出場、2打席1安打。第7戦に9番で初スタメン、3打席3安打。2試合通じて打率8割。
与えられたチャンスをなんとかものにしようという覇気を感じた。
「覇気」をキャッチフレーズにしながら、覇気に波があった安部友裕以上に、福田は「覇気」という言葉が似合う選手だと思った。最終戦、劣勢ムードのオリックスにあって、その波にのまれまいとしている感じがあった。
もともと、小柄でさっぱりとした面立ちがカープの選手っぽいなと気になって応援していたのだけど、中堅選手なのに、ギラギラしていて、すごくいいなと思った。
カープの選手たち、日本シリーズ見ていてくれたかな・・・。
新井さんは、「20~25歳の核となる選手を育てないといけないというのはあるけれど、それありきではスタートしない。結果を出しているのに無理に世代交代を進めるということはやらない。フラットな目で見たい」(「デイリースポーツ」)
結果を出しているのに無理に世代交代を進めることはしない・・・来季もか~。若手が理由なく優遇される謂れはないが、逆もまた、しかり。
フラットな目で見たい・・・。監督になってまもない頃、新井さんが言っていた「好き嫌いで起用しない」という言葉と重なる。
言うは易し、行うは難し。好き嫌いで起用しないつもりでも、今季の選手起用、新井さんの感情というのは入り込んでいたと思うのですよ。
また一方で、ファンである私も、「フラットな選手起用がされていない」という気持ちが強くて、バイアスがかかっていたとも言えるかもしれない。でもファンは、好きなことを言える立場。案外、客観的に見られる立場。
ケガで離脱しても、席が設けられているカープはやっぱり強くなれないよ。カープにはギラギラが足りない。若手もベテランも、選手にはもっとギラギラしてほしいし、そうなる環境をベンチが作ってほしい。