実績もスケールも知名度も違えど、ときに大谷翔平とカープの森下暢仁が重なることがある(「カープの」というところが、ミソ)。
大谷のドジャースの入団会見と、森下の契約更改後の会見でも、面白いほどピタリと重なるところがあった。
「オーナー、フロント、チームメート、ファンの全員が勝ちに、同じ方向に向いているというのが一番大事だと思う」と、大谷は言っていた。「勝ちたいという意思がみんな強い」というのもドジャースを選んだ理由の一つだった。
裏返せば、エンゼルスは勝ちに向かっている球団じゃなかったってこと(ずっとポストシーズンから遠ざかってる)。
大谷の二刀流を認め、のびのびとプレーさせてくれた良さはあったけれど、ワールドシリーズで優勝したい大谷は、ずっとそこにはいられない。
森下は12月15日の契約更改後、「チームは2位という悔しい成績だったので、もっともっとチームのみなさんが優勝したいという気持ちと強い意志を持ってやれば、1位と2位をひっくり返す力はあるんじゃないかなと思ってます」と言った。
森下は、今のカープの中にあって、いつも「優勝」をはっきりと口にする数少ない選手。毎年、優勝する気でやっている。
それだけに、チームメイトにも、もっと本気で優勝するつもりでやってほしいと普通に思っているはずだ。
12月17日、ロッテの吉井監督が故郷の和歌山で開かれたトークショーで、こんなことを言っていた。(「中日スポーツ」)
「大谷は性格的に言うとジャイアンみたいなやつなんです。プレーにも出ている。野球が大好きでおれがやるぞと。ああいう選手はいいですね。マリーンズにもクソガキ的な選手が出てきてくれたら」
やっぱり似てる~。WBCでの大谷はそこが炸裂してました。
森下もそのルックスとは裏腹に、ジャイアン的なところありますから。エラーして、小さくなってあやまる林晃汰に「大地さんの時は捕ってるのに、ワザとかな~」とか、サラッと言います。
大谷は、最も優れたバッターに贈られる「ハンク・アーロン賞」を受賞。アジア選手としても初のこと(日本にはピッチャーに贈られる沢村賞はあるけれど、バッターの賞はないですね)。
ホームラン王も、MVPも、ハンク・アーロン賞も獲った。日ハムで日本一、春のWBCで世界一も経験。残るはワールドシリーズ制覇(サイ・ヤング賞もだけど)。そのために本気でドジャースへ行くわけだから。
森下はFAまでまだ先のこと。球団にもメジャーへ行きたいことは前々から伝えてあるという。で、球団からは「みんなが後押しするような存在になってから」と言われている。(「中日スポーツ」)
もちろんメジャーからオファーが来るような、もっと力強い選手になってほしい。それまでカープから動けない森下は、カープで優勝するしかないんですわ。
大谷の言葉を借りれば、カープは、オーナー、フロントからして、勝ちの方向に向いているとは言えない球団。
弱くても「カープが存在してくれてさえいればいい」というファンも少なくなさそう。
新井さんも「優勝」を口にする一方で、本気でそう思っているのかと首をひねるような選手起用をすることもあった。
全員が同じ方向に向いていない環境はきびし~。それでも、周りがどうあれ、森下は優勝する気です。みんな、見習うように。