前回の記事に書いたのですが、衣笠祥雄さんがなくなって、久しぶりに『広島カープ 最強のベストナイン』(光文社新書、2016)を手にとりました。山本浩二さんが語っていた衣笠さんとのエピソードを読み返したくなったからでした。
同い年の衣笠さんに強烈なライバル意識を持っていて、それが自分を引き上げてくれたという鮮烈な話。
すると、そのエピソードの直後に、野間峻祥の話が出てきました。
「話はとぶけど、去年(2015年)、カープに野間峻祥というルーキーがドラフト一位で入団した。足も速いし、肩も強い。バッティングには波があるやろうけど、守備さえ計算できれば、ベンチは使ってくれる。それが彼の強味やろうね」と。
1975年にカープが初優勝するまで、浩二さんのキャリアハイは、前年の1974年。打率2割7分5厘、28本塁打、74打点だったそう(その後、1978年には初めてのホームラン王に、1979年には打点王に、1981年には2年連続で二冠王…… と、カープの大黒柱となっていきます)。
打力が要求される外野手でありながら、2割5分前後の成績でもレギュラーでいられたのは、守備に定評があったからなのだそうです。
「だから守りは大事なんだ。守りが不安定だと、バッティングの調子が落ちたときに変えられる可能性が出てくる」
5月2日、西川龍馬が打撃不振で二軍に降格。守備での実績がないことも、こうした結果につながっているのかもしれません。
昨年、新人王をとった西武の源田壮亮も、中日の京田陽太もそれなりに失策はあったと聞きます。今年、ヤクルトでショートを守る廣岡大志も失策は少なくないと聞きます。それでも使って育てていこうというチームの方針がしっかり見えてくる。
西川の守備は心もとないけれど、経験を積まないと何も始まらないと思うのですが。
そして、ここに来て、野間の打率があがり、野間の株も静かにあがっているような気配が。開幕当初は、正直、ごめんなさい。野間の打席に何の期待も持っていませんでした。
ところが最近は、長打はないかもしれないけれど、何とかして塁に出てくれるかも、何かを起こしてくれるかも……と、期待させてくれる存在に。こんなことを思う日が来るなんて……。
守備が信頼されていると、打席に立つチャンスが与えられる……というケースを今まさに見ている感じです。さあ、これからどうなっていくのでしょうか、ノ・マー。
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