8月29日、登録抹消された中村奨成。その後、2軍では、外野守ってるかと思えば、捕手の日もあったり。
今シーズン、スタメンマスクは、わずか2試合。5月29日、九里亜蓮とバッテリーを組んだ巨人戦は見ていてワクワクする試合だった。九里は完投勝利。結果が出ても、それ以降、九里と組ませることはなし。
今のベンチには、奨成を捕手として育てる気がないように見える。いや、打者としても。限られた打席の中、結果を出しても、次の試合に起用することはほぼない。
奨成を活躍させたくないと、ベンチが試合に出すのを阻止しているようにさえ見える。
捕手として育てる気がないなら、外野に思い切ってコンバートを、という方針もなさそう。どっちつがず。
元サッカー選手の内田篤人さんが、5月12日の「報道ステーション」(テレビ朝日)のスポーツコーナーで、キャスターの小木逸平さんに「いい監督とは?」と問いかけられていた。
おっ。シンプルだけど、興味ひかれる質問。内田さんはなんて答えるんだろう。
ズバリ、「自分を使ってくれる監督」と言っていた。
これまたシンプルだけど、プレーヤーならではの答え。ものすごく納得した。
そこでまた思う、中村奨成の行方。
起用されてもがくのとはまた別の、結果を出しても使われないという逆境が待っていようとは。
周りにもっとまともな大人がいたら、別の環境にいたら、違った展開があったのかなと、ふと思う。大好きだった地元の球団に1位指名されたのに、どうしてこんなことに?
子どもの頃からファンだったチームに入れることは、ものすごく幸運なことだったはずなのに。
たとえば、愛知で生まれ育った栗林良吏。大好きな中日でプレーできずとも、プロの世界で存分に戦っている(そういう選手はたくさんいる)。
プロの選手にとって、入りたかった球団で活躍の場がないより、活躍の場を与えられる球団にいる方がずっといい環境なのでは。
8月19日の中日戦、先発だった大瀬良大地がマウンドを降りた試合終盤、ベンチで奨成と膝突き合わせていたという。なぜあの球種を投げたと思うか、この打者のスイングから狙い球を何だと読むかと問いかけ、やりとりしていたという。(「中国新聞」)
8月19日の中日戦、先発だった大瀬良大地がマウンドを降りた試合終盤、ベンチで奨成と膝突き合わせていたという。なぜあの球種を投げたと思うか、この打者のスイングから狙い球を何だと読むかと問いかけ、やりとりしていたという。(「中国新聞」)
試合に出られなくても、捕手としてできることはないか、何事も無駄にはならないように。と、奨成に問いかける大瀬良。ポジション関係なく若手へも目配りしている。エースとして立派だと思う。
奨成が打席で結果を出してベンチに戻ったとき、松山竜平が奨成の頭をポンポンとなでる自愛に満ちた様子を見たときにも、思う。
一緒にプレーしていて、奨成の出場機会があまりに少ないこと、おかしいと肌で感じている選手もいるんじゃないだろうか。
コンディションが悪いのに、ずっと田中広輔を起用し、チームを低迷させた緒方前監督。試合に出し続けてくれた緒方監督は、田中にとっていい監督だったんだろうか。
「自分を使ってくれる監督」と内田さんが言い切れたのは、現役時代、自分の状態(能力)に自信があったからだと思う。
小園海斗も今でこそ、スタメンで起用されるようになったが、河田ヘッドコーチは2軍の試合を見てもないのに、「小園はまだまだ鍛錬が必要」と言っていた時期もあった。
力のある、将来性がある選手をフラットな目でみて使えない、使わない監督(コーチ)は、いい監督(コーチ)と思えない。
出てくる人は自ずと出てくる。そう願って。しかし、選手の、とくに若い時期の大事な時間を粗末に使っているように見えてしかたない、今のカープという球団のやり方。