12月18日、新入団選手8人の会見。
選手のコメントから、緊張感と決意が初々しく伝わってきて、こちらこそよろしくお願いしますという気持ちに。
入団したて、まだ私の頭の中でふわっとしている新人選手も、徐々にはっきり輪郭線が見えてくるようになる。毎年のことだけど、全員に活躍してほしいという気持ちになる。
で、新井さんのご挨拶。
「カープという球団は12球団一家族的な球団だと思います。ファンの方が本当に温かく、そして広島という地域に密着した球団だと思います。 街をあげてカープを応援していただけますので、どうぞご安心して応援していただければと思います」
会場には選手のご家族もいらしてたそうで、プロの球団というより、さながら保護者に向けた学校関係者の挨拶のよう。
監督に就任したとき、秋季キャンプで新井さんが放った「カープのユニフォームを着ている選手は家族だと思っている」。
この言葉を聞いたとき、一見(一聴)、温かそうに響くけど、そんな言葉、安易に使わない方がいいと思った(世の中、もめてる家族って少なくないみたいです)。
新井さん、最近は「カープは家族」という言葉、使っているのかな? と思っていたところだったので、出たー!
カープ関連で「家族」を初めて目にしたのは、25年ぶりのリーグ優勝した2016年、『日経新聞』10月13日の記事。その中に、鈴木球団本部長の「選手は家族のようなもの」という言葉があった。
当時、カープ応援歴2年目の私には、わかるような、わからないような、ボワッとした感覚だった。
新井さんの2年を見ていて、これは年長者が幅をきかせる、保守的な意味での「家族」なんだと感じた。
ファームで結果を出している選手とコンディションよくない1軍選手を入れ替え、フラットにチャンスを与えられる方が、選手にとってどれだけ温かいかと思う。こんなこと言うから、評論家から軽んじられて低い順位予想されるんじゃないかとさえ思っている。
今年3月、日ハムとのオープン戦で、新井さんは、北海道出身の滝田一希、斉藤優汰、持丸泰輝を出場させた。(「デイリースポーツ」)
「遠い北海道の地で親も心配していると思う。息子さんは頑張っていますよ、というのを直に見せてあげたい気持ちがある」と。
オープン戦はお試し的な場所。若い選手に経験させるのは当然ありだが、選手同士しのぎを削っているプロの世界に、しっくりこない違和感があった。そのときも思った、部活っぽい。ここはプロの球団なのに、と。
しかし、11月12日、ロッテの西野勇士は「マリーンズは家族です」と、FA宣言せず残留を決めた。(「スポーツナビ」)
1年前、今江敏晃さんが楽天の監督に就任したときも、こう言っていた。「家族のように信頼できるチームにしたい」と。(「日刊スポーツ」)
これは今江さんがロッテ時代、リスペクトしていたバレンタイン監督が、「チームはファミリー」と、時に厳しく、時に優しく接してくれたからなのだそう。ボビ〜。
ロッテにまつわる人たちが「家族(ファミリー)」という言葉を使っても、そこまで妙な感じがしないのに、カープだと、なんでこんなにも嫌な感じがするのだろう。
やっぱりフラットな選手起用がされているかどうか、な気がする(ロッテの内情には詳しくないですけれど)。そして、うちわに優しい閉鎖的な球団の体質。
野茂英雄さんがメジャーに渡ったとき、ドジャースのラソーダ監督は、一人で異国にやってきた英語を話せない野茂さんに、「居心地のよい家族的な気分を感じてほしい」と接した。それはラソーダさんが、イタリアから移民としてアメリカに渡ってきた父親の苦労を知っていたから。
かと言って、ラソーダ監督は野茂を特別扱いしたわけではないと思うの。野茂さんは自分の力を発揮して、球史に残る活躍をした。
新井さんの言葉と球団の体質が層になっていて、今のまま「家族」という言葉を使ってる限り、カープがまっとうなチームになれる気がしないです。